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「教育とデジタル技術」最初の題材としては、デジタル技術の基礎を形作る
技術とも言える、記録媒体について取り上げてみたいと思います。
記録媒体、というとあまりなじみがないかもしれませんが、ハードディスク
やDVD-R、CD-R、フラッシュメモリといえば、ピンと来る方もおられるでしょう。
デジタル技術を利用する際には、これらのものを何らかの形で使用しているこ
とが多くあります。
さて、こういった記録媒体ですが、その記録容量は驚くべきスピードで増大
しています。ここでは、ハードディスクを例に考えてみましょう。
実は、今年はハードディスク誕生50周年に当たる年です。1956年、ア
メリカのIBM社が世界で最初のハードディスクを作りました。それは、約60セ
ンチのディスクを50枚も使用する非常に大きなものだったにも関わらず、容
量はたったの5メガバイトでした。そして、その価格は5万ドル、日本円にす
ると1800万円もしました。ハードディスクがあまりにも大きかったこと、
また、値段があまりにも高かったこともあり、しばらくの間、一般に普及する
ことはありませんでした。
ハードディスクが、ようやく手ごろな値段、手ごろな大きさになったのは、
それから30年後の1980年代中ごろのことです。例えば、1985年にロ
ジテック社が発売したハードディスクは、容量20メガバイト、価格はおよそ
33万円で、トースターくらいの大きさでした。すなわち、1メガバイトあた
りの値段は30年間でおよそ200分の1になったということです。
ここから、ハードディスクは一気に大容量化を遂げます。1995年には
2ギガバイト(2000メガバイト)のハードディスクが発売され、そして、
現在では2テラバイト(2000ギガバイト)のハードディスクが販売され
ています。2テラバイトのハードディスクでおよそ20万円なので、1メガ
バイトあたりの値段はなんと0.1円ということになります。
さて、この大容量化・低価格化は何をもたらしたのでしょうか?
その一つには、より多様なデータがコンピュータ上で手軽に扱えるように
なった、ということが挙げられます。文書はもちろんのこと、写真、音楽、
映像など、さまざまな形式を扱うことが可能になりました。
そして、私たちはこういった写真、映像などのデータを簡単に編集できる
ようになりました。少し前までは、プロが非常に高価な機材を使って行って
きたような画像編集・動画編集が、普通に市販されているパソコンでも可能
になったのです。
このことが、教育にどのような影響をもたらすのかを考える上では、フラ
ンスのフレネ教育がヒントとなります。フランスのフレネ教育では、教室に
印刷機を持ち込むことで、子どもたちの表現の可能性を広げ、情報の発信者
へと変えることができました。
同じように、記録媒体の大容量化・低価格化によって、コンピュータを使
った画像・映像編集が容易になり、子どもたちの表現の可能性を広げること
が考えられます。
特に、映像編集には、メディアの捉え方の大きな転換の契機が秘められて
います。テレビという映像のマスメディアが、いかに大きな影響力を持って
いるかということは、既にさまざまな点で指摘されています。しかし、これ
まで、多くの人々は、テレビというメディアに対して、常に受け手の立場に
ありました。しかし、映像編集が容易になり、ネットワークが整備されるこ
とによって、これまで受け手だった人々が発信者に転ずる可能性が出てきた
のです。これは、必然的にテレビに対する見方の変容をもたらすでしょう。
大容量化はこれからも進行し続け、5年以内に10倍になるという予測も
出されています。大容量化がもたらす影響はこれだけとは限りませんが、一
つの可能性として、このような未来が考えられることは間違いないでしょう。
参考
5Mバイトからのスタート HDD誕生から50年(ITmedia)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0604/12/news088.html
ハードディスクの歴史館(Logitec)
http://www.logitec.co.jp/poke/regend/hdregend.html
(続く) |