| 今回は、前回に引き続き企業CSR(社会貢献事業)の一環として学校にか
かわった経験のある方にお話を伺いました。
−プロジェクトを進める上で大変だったことはありますか?
学校の先生方、ITを活用した授業のアドバイスをいただく専門家、我々企
業と、それぞれ背景・目的・事情が違う中で協業を進めるのは容易なことでは
ありませんでした。
私たちの活動の目的は、自社の機器を寄附してそれをPRすることではなく、
他の学校でも展開できるような実際的・効果的なIT機器活用を支援すること
でした。しかし、教育委員会や学校の先生方にはそういったイメージがなかっ
たようで、機器導入の後も私たちが支援を続ける理由を当初はご理解いただけ
なかった記憶があります。
また、ITを授業に生かすという観点で専門家の先生方をお連れし、授業の
様子を拝見したり、話し合いの場をもったりしたのですが、その際「うまくで
きている」部分のみ披露いただき、肝心の「問題点」についてはなかなかお伝
えいただけなかったりもしました。
それから、学校に何か提案や質問をさせていただいた際、「学校というのは、
これこれこういうものです。」という言葉をどの学校の方からも頂戴したのが
印象的でした。
また、企業の活動は限られた期間の中で、資金を用いての「成果」が求めら
れるのが常であり、主役である子どもたちや学校の事情に合わせようとすると、
社内ではプロジェクトが理解されず、必要な予算獲得に苦心しました。
しかし、関係者が話し合いを重ねることで次第に相互理解が深まり、「子ど
もたちが、楽しく、新しい視点で学習できるための支援をする」という目的を
共有していることを実感していくにつれて、「問題点」なども隠さずお話いた
だいたり、コンピューターの操作を全くしたことのない先生にも積極的に取り
組んでいただけるようになりました。そしてこちらからも、学校の様子を把握
して必要な支援を強化できるようになっていきました。
−プロジェクトの成果としては、どのようなことがあったのでしょうか?
プロジェクトを通して、子どもたちは学習の履歴や作品を「劣化しない」形
で保存したり、新しい発想で自己表現したり、他校や学生ボランティアと学習
の成果を交換したりといった体験をすることができました。
参加校の先生方には、新しいツールの受容の仕方や、学校外部との連携の仕
方を知っていただけたと思います。また、高価な機器・ネットワーク等を前提
としないこの実践をメディアで紹介して、同様の環境で悩んでいる先生方にヒ
ントを提供できたという点もありました。
さらに、ご一緒した先生方やボランティアの方々とは、プロジェクトが終了
した現在も交流が続いていて、相互の活動に生かされているということが、副
次的ですが一番嬉しい成果だと感じています。
−学校の先生方へのメッセージをお願いします。
プロジェクトとも関係しますが、いろいろな形で学校外部のリソースを活用
することにトライしていただきたいと思います。学校教育に対する社会の関心
は非常に高く、また、私たちの会社においても、役員から新人にいたるまで、
教育に進んで関わっていこうとする社員がたくさんいます。日ごろとても忙し
くしていて、「いつ寝ているんだろう?」と思うような人が、社員ボランティ
アで学校のメンター(勉強や進路などの相談相手になる人)をやっていたりす
るんですよ。こういった関心の高まりをうまくご利用いただき、教育界以外の
空気や価値観にも積極的に触れてみていただくことをお奨めいたします。
−ありがとうございました。
(インタビュー協力:日本アイ・ビー・エム株式会社 鈴木 靖子さん)
(続く)
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