それはよかったね。効果がすぐに表れてきたということは、子どもたちの中で伸びる準備がだいぶ整っていたんだね。
ええ、これからも、この教材フォーカス力にこだわって授業を進めていきたいと思っています。そうすれば、課題が一つ一つなくなって、最後には完璧なクラスが…。
ううん、それはそれで大事なことなんだが、そうやって単純に進めてしまうと、実は困ったことになるんだ。
それは、子どもたちは、一回ですべてを理解することは絶対にないからなんだよ。
なるほど、だから、らせん化することによって、同じ課題を繰り返していくんですね。
そうなんだ。同じ課題を繰り返すといっても、教え方を変えながら繰り返していくんだ。教材らせん化力というのは、教材フォーカス力のような短期集中型の力とは異なり、ゆっくり、じっくりと同じことを繰り返していく。そんな気長な、忍耐力を必要とするような力なんだよ。
なるほど、忍耐力ですか。具体的には、どんなところに忍耐力が必要なんですか?
「こうやったらこの力が伸びてくれるんじゃないか。」とか、「ここまでやっているからには力が伸びるだろう。」とか、教師はそんな気持ちをみんなもつと思うんだけれども、そうすぐに子どもたちが変わってくるわけじゃない。なかなか成果が表れないほうが普通だと思う。それに耐えるということだね。
自分の努力が実を結ばないこともあるということですね。
それから、自分がいちばんいいと思った教え方でも、子どもたち全員に合うわけではないということかな。だから、常に自分が子どもたちに合った教え方ができているかを見極めて、必要に応じて教え方を変えていかなければいけないんだよ。
そんなことってあるんですか?
もちろんあるよ。だって、子ども一人一人でわかり方が違うんだから。このことは、脳の研究からも明らかにされているんだよ。ある研究者によると、13−5=8という単純な問題でも、答えを出すときに使っている脳の部分は人によって違うんだそうだよ。
なるほど、使っている脳が違うんですか。驚きました。
だから、子どもたちに教えていくときには、同じことを繰り返すのではなく、手を替え、品を替えて教えていくことが大切なんだ。子どもたちは、いろいろな方法で教えてもらいたいと思っていて、その中から自分がいちばん納得できるわかり方を選んでいくんだよ。これが、教材らせん化力の基本なんだ。
わかりました。難しそうですが、がんばってみます!