シンマイ先生
プロジェクタとOHP
ベテラン先生

今日は、ちょっと昔のことを話そうか。

ちょっと昔っていうと、昭和の時代ですか?

そうだね。まだ学校にコンピュータが入っていなかった時代のことだよ。

小学校にコンピュータが入ってきたのは、90年ごろでしたね。

そう、その前の話。その頃は、情報教育ではなく、視聴覚教育と呼んでいたんだ。

学校に視聴覚室はありますが、視聴覚教育というのは聞いたことがありませんね。どんなことをされていたんですか?

実は、今のコンピュータでやろうとしていることと何も変わらないんだ。

 
そうなんですか?

例えば、そのころの教育機器の花形といえばOHPだったんだけど、教材の提示装置として使っていたわけだから、プロジェクタとあまり変わらないんだ。

 
オーバーヘッドプロジェクタですよね。前に少しお話していただきました。

そうだったね。でも、実際にどんな工夫をして使っていたかまでは、あまり知らないだろう。

 
確かに、そうですね。

OHPで映すには、OHPシートという透明のフィルム紙を使うんだが、そこに直接図を書いたり、上から色セロファンを貼ったりして、視覚的に子どもたちの興味を引こうとしていたんだよ。

 
なるほど。今のコンピュータに比べると、準備が大変だったんですね。

いや、一概にそうは言えないね。例えば、OHPのほうがコンピュータよりも手直しは楽だったかもしれないね。それから、紙芝居のように次々とシートを入れ替えて、順序よく教えていくのには、便利だったような気がするよ。

 
なるほど、なんとなく分かる気がします。ところで、どんな授業の場面で使っていたんですか?

今でも覚えているのは、円の面積を教える時に使ったことだね。まず、円を半分に切ってから、次に中心から円周に向かって櫛の歯のように切っていき、互い違いに組み合わせて長方形を作るんだ。それで、半径×半径×円周率の公式にもっていくんだけれども、このプロセスを丁寧に何コマかに分けてOHPシートを作って、重ねて表示したり、ゆっくり提示したりして、円の面積の求め方を教えたんだ。子どもたちがシートを入れ替えていくたびに歓声をあげてね。そして、最後には全員がOHPを使って、上手に円の面積の求め方を説明できるようになったんだ。

 
すごいですね。そうすると、OHPってコンピュータのプレゼンソフトにそっくりですね。

その通り。わたしは、算数のシミュレーションソフトを見たとき、これは動くOHPだ、と思ったよ。

 
なるほど。だからベテラン先生はコンピュータにも抵抗なく取り組んでいるんですね。

本当は抵抗があるんだけれどね。さっき言ったように、コンピュータで便利になったこともあるけれども、OHPの方が便利だったこともあるんだよ。コンピュータはこれから子どもたちが使いこなしていくものだから、良いところと悪いところをきちんと教えていかないといけないね。

 
そうですね。わたしもコンピュータについてもう一回考えてみることにします。ありがとうございました。
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