今日は、ちょっと昔のことを話そうか。
そうだね。まだ学校にコンピュータが入っていなかった時代のことだよ。
そう、その前の話。その頃は、情報教育ではなく、視聴覚教育と呼んでいたんだ。
実は、今のコンピュータでやろうとしていることと何も変わらないんだ。
例えば、そのころの教育機器の花形といえばOHPだったんだけど、教材の提示装置として使っていたわけだから、プロジェクタとあまり変わらないんだ。
そうだったね。でも、実際にどんな工夫をして使っていたかまでは、あまり知らないだろう。
OHPで映すには、OHPシートという透明のフィルム紙を使うんだが、そこに直接図を書いたり、上から色セロファンを貼ったりして、視覚的に子どもたちの興味を引こうとしていたんだよ。
いや、一概にそうは言えないね。例えば、OHPのほうがコンピュータよりも手直しは楽だったかもしれないね。それから、紙芝居のように次々とシートを入れ替えて、順序よく教えていくのには、便利だったような気がするよ。
今でも覚えているのは、円の面積を教える時に使ったことだね。まず、円を半分に切ってから、次に中心から円周に向かって櫛の歯のように切っていき、互い違いに組み合わせて長方形を作るんだ。それで、半径×半径×円周率の公式にもっていくんだけれども、このプロセスを丁寧に何コマかに分けてOHPシートを作って、重ねて表示したり、ゆっくり提示したりして、円の面積の求め方を教えたんだ。子どもたちがシートを入れ替えていくたびに歓声をあげてね。そして、最後には全員がOHPを使って、上手に円の面積の求め方を説明できるようになったんだ。
その通り。わたしは、算数のシミュレーションソフトを見たとき、これは動くOHPだ、と思ったよ。
本当は抵抗があるんだけれどね。さっき言ったように、コンピュータで便利になったこともあるけれども、OHPの方が便利だったこともあるんだよ。コンピュータはこれから子どもたちが使いこなしていくものだから、良いところと悪いところをきちんと教えていかないといけないね。