みなさんの家の近くにコンビニはありますか? コンビニにはお弁当や飲み物から電池、雑誌(ざっし)など、さまざまな商品が置かれています。今回は、そういった数多くの商品がお店まできちんと届(とど)くようにする、物流の仕組み作りのお仕事をされている方にお話をうかがいました。
株式会社(かぶしきがいしゃ)ファミリーマート
物流品質管理本部 物流部 業務グループ
根本 健一朗(ねもと けんいちろう)さん
インタビュアー:高尾 美沙子(たかお みさこ)
まずは、根本さんのお仕事がどのようなものか教えてください。
そのためにはまず、ファミリーマートの物流の仕組みをお話ししたほうが良さそうですね。お店にはたくさんの商品があるのですが、それらの商品は各メーカーさんの工場などから、いったん物流センターというところに送られて、そこからそれぞれのお店へと配送されます。
物流の仕事は、配送の仕組み全体を考えたり、改善(かいぜん)したりする企画(きかく)グループ、お店に商品を配送するトラックの運行などの管理をしている運行グループ、それから、現在の仕組みの中で出てくる業務、たとえば物流センターを作ったりするような仕事を行う業務グループに分かれて行っています。わたしは、この業務グループに所属しています。
業務グループの中では、どのようなお仕事をされているんですか?
わたしの仕事は、先ほどあげた、物流センターを作ることです。コンビニエンスストアはどんどん増えていっていますので、その増加に合わせて物流センターも増やしていく必要があります。お店が増えていく場所に合わせて的確にセンターを作っていかないと、たとえば北のほうにお店が増えているのに南のほうにセンターを作ってしまったら、配送距離(きょり)が長くなり、結果的に配送コストが高くなったり、二酸化炭素の排出量(はいしゅつりょう)が増えてしまったりする事になります。
なるほど、センターを作る場所によって、環境(かんきょう)問題にまでつながっていくんですね。
このセンターというのは、当然お店ができる前に完成していないといけないわけですよね?
そうなんですよ。ですから、これから店が増える場所を把握(はあく)した上で、どこにセンターを作るかを考えていかなければいけないんです。常に、1年、2年先のことを見て動くことが必要になってきます。
根本さんは子どものころは、どんなお子さんだったんですか? 何か今のお仕事に関係するようなことはあったのでしょうか?
これは関係があるかどうかわからないんですが、小さいころから地図がすごく好きだったんですよ。家族で旅行をよくしていたんですが、旅行から帰ってくると、必ず地図を開いてどこに行ったか確認(かくにん)したりしていました。しょっちゅう地図帳を見て、空想なんかもしていましたね。次はどこに行きたいな、とか。
友だちと遊ぶ時にも、ポケット地図帳を持って、自転車に乗ってすごく遠くまで行ったりしたこともありましたね。旅とか、知らないところに行くのが好きでしたね。
地図を見ながら、そこがどのようになっているかイメージして、それで実際に行ってみたりするようなことをされていたということですね。
そうですね。今の物流の仕事も、トラックがどこを通って、どう運ぶかというルートを探(さぐ)ることがありますが、それが違和感(いわかん)なくできているというのは、このようなことが背景(はいけい)にあるかもしれませんね。
ファミリーマートに入社したきっかけは、どのようなものだったんでしょうか?
子ども時代の話からははずれてしまうんですが、大学生のときにコンビニエンスストアでアルバイトをしていました。そこの店長さんと仲良くなっていろいろ話をしたんですが、店長さんから「コンビニの店長は、一国一城(いっこくいちじょう)の主(あるじ)だからいいぞ」というような話を聞いているうちに、自分もコンビニエンスストアで独立したいな、と思うようになったんですね。
ただ、いきなり店長になれるわけはなくて、社会勉強もする必要がある、それならまずコンビニエンスストアの会社に就職(しゅうしょく)して働くことかな、と思って就職しました。会社に入った理由としては、そのような感じですね。
その夢というのは、今でも追い続けていらっしゃるんですか?
いや、入社してから少し変わってきました。入社すると、最初にSV(スーパーバイザー)という仕事を担当(たんとう)しました。SVは、店長さんといっしょにお店の売り上げをのばしたり、店長さんの相談事を解決したりする仕事をしています。当初はわたしも、店長さんといろいろと相談したり、売り上げがどうしたら上がるかを考えたりしました。そのうちに、毎日毎日配送されてくる商品が、どういうふうに運ばれてくるんだろう、とか、なんでこんな時間に来ているんだろう、というようなことが気になり始めたんですよ。
それで、商品の流れや配送の仕組みについて知りたいな、そういう部署(ぶしょ)ってあるのかな、と思ったら、この物流部というのがあって、おもしろそうな仕事だなと思ったので、異動(いどう)願いを出しました。そうしたら、幸いなことに上司がそれを理解してくれて、異動することができました。
なるほど、たしかに不思議ですよね。いつ行ってもきちんと商品があるというのは。
そうですね。ちゃんとそこには仕組みがあって、たとえばお弁当なら何時にお店に着くというのが決まっています。そうすると、製造工場で何時に作られ、それが物流センターに何時に着いて、何時に配送に出発するかということが細かく決められています。こういった、きちんとした時間管理の上でシステムが流れているんですね。
今のお仕事に必要な力としては、どのようなものがありますか?
コミュニケーションを取る力というのが一番重要ですよね。これは、物流だからということではなくて、社会人として当然のことなのかもしれませんが、コミュニケーション能力が高ければ高いほど、うまく仕事ができると思います。
仕事には、いろいろな立場の人がいますよね。例えば、わたしは物流の人間だし、商品を作っているメーカーの方もいますし、それぞれのお店の店長さんもいます。こういう、それぞれ違(ちが)った立場の人のニーズをきちんと把握(はあく)した上で、たとえばどこにセンターを作るとか、いつセンターを作るといったことを決めていく必要があります。
そうすると、それぞれの立場の人がどのようなニーズをもっているのか知るために、きちんと話をすることが大事になってくると思います。コミュニケーションを取る能力がないと、きちんとニーズを把握できずに、変な場所にセンターを作ってしまうというような結果になるかもしれませんよね。
ちょうど、商品を作っているメーカーの方と、お店の方の間に立って仕事をされているような感じになるんですね。
そうですね。わたしたちは、どこか一か所だけにとって良いという「部分最適」ではなくて、全体にとって良いようにする「全体最適」ということを考えて仕事をしています。たとえば、メーカーさんのことだけを考えて、センターをメーカーの工場に近い所に作ると、メーカーにとっては良いのですが、お店まで届(とど)けるのが大変になってしまいます。逆に、お店のことだけ考えて作ると、今度はメーカーさんが大変になってしまうんですよね。なので、どちらの側にとっても良いように、それぞれの立場の方が何を求めているのかきちんと聞いていく。そのためにはコミュニケーション能力は不可欠ですね。
仕事をしていて楽しいことや大変なことはどんなことですか?
そうですね、難(むずか)しいですが…。
いろいろな人といろいろな打ち合わせがあるんですが、その打ち合わせがうまくいったときには、毎回「ああ、良かったな」と思います。最終的に大きな仕事ができて良かったな、というのもあるんですが、毎回毎回の人との打ち合わせがうまくいったときのほうが、楽しいし、良かったなと思います。
打ち合わせのためにいろいろと準備をするじゃないですか。その準備をするときに、こう言うと相手がどう思うかな、とか、これは言わないほうがいいな、とかいろいろ考えて、それがうまくいったときが楽しいですね。
逆に言うと、そういうのを、事前にうまくいくためにどうしたらいいか考えるのが大変ですね。
打ち合わせは日にどのくらいされているんですか?
そうですね、多い時には一日3回とか4回することもありますね。
その場合は、そのすべての打ち合わせに向けて準備をしておかないといけないわけですよね?
もちろんです。基本的に、その積み重ねですよね。だから、わたしは最後に何かが完成したというときの達成感はあまりないんです。
基本的に、この仕事ってうまくいって当たり前なんです。うまくいかなかったらそれこそ大変なことになるわけで、うまくいくようにするために事前に打ち合わせを積み重ねているわけですよね。なので、最後にたどり着くまでの一つ一つの打ち合わせが大変で、それがうまくいくとうれしいというのはあるんですが、最後は完成して当たり前という感じのほうが強いです。