社会で起こるいろいろなできごとを伝える新聞。その編集とはどういう仕事なんだろう。読売(よみうり)新聞社の佐藤範明(さとう のりあき)さんに聞いてみました。
佐藤範明(さとう のりあき)さん 高尾 美沙子(たかお みさこ)
読売新聞社ジュニアプレス編集長
佐藤 範明(さとう のりあき)さん
ヨミウリ・ジュニア・プレス
  インタビュアー
  高尾 美沙子(たかお みさこ)
インタビュー
仕事の紹介
子ども時代の話
仕事についた理由
仕事に必要な力
仕事をしていて楽しいこと、大変なこと
仕事で使う道具
仕事のおもしろ話
どもたちへのメッセージ

仕事の紹介
 佐藤さんのお仕事は、どのようなものか教えてください。
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 読売新聞社が運営(うんえい)している「ヨミウリ・ジュニア・プレス」で、編集長として働いています。日本には100をこす新聞社がありますが、このような子ども記者団があるところは読売新聞社ぐらいです。

 「ヨミウリ・ジュニア・プレス」では、応募者(おうぼしゃ)の中から選ばれた、東京周辺に住んでいる小学5年生から高校3年生までの約60人の子どもたちが、ジュニア記者として活動しています。記者たちは、だいたい3〜4人の取材班(はん)を作って、大人の記者(合わせて4人います)といっしょに取材先に出かけます。そして、大人の記者の指導(しどう)を受けながら取材し、原稿(げんこう)を書いて、紙面を作ります。
 「ヨミウリ・ジュニア・プレス」の中で、佐藤さんは具体的にどのようなお仕事をしているのですか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 わたしは、ジュニア記者といっしょに、まずどんな取材をするかを話し合います。それが決まると、取材先に連絡(れんらく)して取材日を決めます。取材はジュニア記者といっしょに出かけ、記事作りのサポートをします。

 そして、何よりも大切な仕事は、ジュニア記者が書いてきた原稿(げんこう)にまちがいがないかを確認(かくにん)することです。子どもたちが紙面を作っているからといって、新聞にミスは許(ゆる)されません。1千万人の読者に届(とど)ける「商品」として、情報(じょうほう)に誤(あやま)りがないか、また誤字(ごじ)や脱字(だつじ)がないかなど、細かいところまでチェックをします。

  それと、もう一つ大事なことは、子どもたちの取材中の安全に気を配ることですね。ジュニア記者が集合してから、取材し、家に帰るまでの安全が、わたしたち大人の記者が気を配る大事な仕事なんです。

  子どもたちにとって、「ヨミウリ・ジュニア・プレス」は、楽しい取材活動の場であり、学校のようなところでもあります。よく、子どもたちから、「先生」とまちがって呼(よ)ばれることがあります。ホントです。
写真1
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子ども時代の話
 佐藤さんの子ども時代の話を聞かせてください。どんな子ども時代でしたか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 小学校、中学校は学校を1日も休まず、皆勤賞(かいきんしょう)をもらいました。学級委員や生徒会など結構(けっこう)やっていたし、人の世話をするのが好きでしたね。
 1日も休まずに学校に行ったなんてすごいですね。
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 でも、皆勤賞をもらうにあたって、とても苦労したエピソードがあるんです。中学2年生のときに、新聞配達をしていた近所のおじさんから、用事があるので、夏休みの最後の1週間だけ新聞配達を交代してほしいと言われて、毎朝、新聞配達をしました。でも、そのおじさんが、夏休みが終わっても帰って来なくて。

  学校が始まってしまったので、学校に行くべきか、新聞配達をするべきかとても悩(なや)みました。というのは、当時、わたしのところに新聞が届(とど)くのが朝の7時ごろで、それから新聞を配り始めると、どうしても学校に遅(おく)れるんです。生徒会の役員もしていたので、悩んで、悩んで、やはり学校に行くことにしました。
 新聞配達はどうしたんですか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 学校が終わって、帰ってきてから配達に行きました。いやあ、怒(おこ)られましたよ。1軒(けん)、1軒、新聞を届けるたびに、「どうして遅(おそ)いのか。」とか「待っていたのに。」と言われました。2学期に入ってから配ったのは2、3日だけだったと思いますが、そのとき、新聞が多くの人に必要とされている、大事な情報源(じょうほうげん)だということを体で感じました。
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仕事についた理由
 佐藤さんはどうして新聞社に勤(つと)めたいと思ったのですか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 大学時代に民間の放送局でアルバイトをした経験(けいけん)から、マスコミのおもしろさを感じて、マスコミで働いてみたいと思うようになりました。
 放送局では、具体的にどんなことをしていたのですか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 社員の人がいないとき(土日)の留守番(るすばん)役で、放送局に事件(じけん)や事故(じこ)の知らせがくると、その事件や事故について、数分の間に状況(じょうきょう)を確認(かくにん)して、大きい事件や事故になりそうなものがあれば放送局の記者の人に連絡(れんらく)をする、といったことをしていました。それほど大それた仕事はしていませんでしたが、ニュースを報道(ほうどう)する現場(げんば)にいたという体験が大きかったと思っています。
 いつから新聞社の仕事についているのですか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 就職(しゅうしょく)試験はテレビ局、新聞社合わせて3社受けました。大学を卒業(そつぎょう)して、すぐに読売新聞社に勤めました。はじめの10年間は山形支局(やまがたしきょく)で、次に宇都宮(うつのみや)支局で3年、それから本社の地方部というところで、地方版(ちほうばん)の編集(へんしゅう)の仕事や、国会、農林水産(のうりんすいさん)省、建設(けんせつ)省(今の国土交通省)、自治省(今の総務(そうむ)省)など、さまざまな国の省庁(しょうちょう)を回って取材をしました。そして、1989年11月に生活情報(じょうほう)部に希望して異動(いどう)しました。
 なぜ、生活情報部を希望されたのですか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 生活情報部のもっている「生活面」は、衣・食・住から年金、医療(いりょう)、ボランティア、教育、国際(こくさい)協力など社会のあらゆるテーマの出来事を、「家庭」「生活している人」の側から追いかけるという感じで、とてもはば広い分野の記事を書くことができます。おかげでわたしも国内だけでなく、海外にも出かけていろんな分野の取材をしました。現在の「ヨミウリ・ジュニア・プレス」の担当(たんとう)になったのは、98年6月です。
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仕事に必要な力
 新聞記者になるためには、どんな力が必要ですか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 これは、どこの会社にも言えることですが、仕事に責任(せきにん)をもって、ある時間内に仕上げることが大事です。新聞社では、締(し)め切り時間を守ることですね。その締め切りが、夕刊(ゆうかん)、朝刊にあります。いつまでに原稿(げんこう)を出す、と約束したら、そのために最大限(さいだいげん)の努力をして取材し、記事にまとめます。

  それから、記者にとって大事なことって、「何がニュースか」ということを感覚的に読み取ることだと思います。そのためには、ふだんの生活の中で、情報(じょうほう)のアンテナを常に敏感(びんかん)にはっていなければいけません。いろんな記事を読み、本を読み、人に会い、お話を聞く。わたしはジュニア記者たちに、「いい意味でのやじ馬になりなさい。」と言っています。関心をもって見ていると、ものの見方が変わってきます。

  そして、新聞記事を書くときの基本(きほん)は、「いつ、どこで、だれが、何をして」といった5W1Hです。しかし、すべてがそのパターンにあてはまる記事というわけではありません。そこにどのような枝葉(えだは)をつけていくかがポイントになります。それには、人の話を聞き出す力、また、自分の感受性で感じ取る力が必要になります。

  しかし、何よりも、与えられたことだけをやるのではなく、自分の今ある力をもっともっと伸(の)ばしていこうと努力する気持ちが大切だと思います。
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仕事をしていて楽しいこと、大変なこと
 仕事をしていて楽しいことは、どんなことですか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 取材を通していろいろな人と会って、直接(ちょくせつ)お話を聞けることですね。また、子どもたちといっしょに紙面を作り上げていく仕事なので、でき上がったときは達成感を感じることができます。
 逆(ぎゃく)に、仕事をしていて大変なことはどんなことですか?
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 大変なことは、取材で聞いたことを、会っていない読者にわかりやすく伝えるということです。専門(せんもん)的な話など、難(むずか)しい内容をこちらが簡単(かんたん)に直すと、その人の伝えたかったことと、くい違(ちが)いが出てきてしまうことがあります。しかも、わたしたち大人は理解(りかい)できても、ジュニア記者には理解できないこともあります。しかし、最終的には子ども記者のミスも、理解(りかい)不足も、すべて大人であるわたしの責任(せきにん)になります。
 
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仕事で使う道具
 佐藤さんがお仕事で使っている道具を見せてもらえますか。
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん
 取材に出かけるときは、ペンとメモ帳、テープレコーダー、それにカメラ、わたしたちの活動案内、最新の紙面などを持って行きます。ふだん、通勤(つうきん)のときのかばんには、メモ帳、デジタルカメラ、ラジオ、電子辞書、携帯(けいたい)電話などが入っています。ラジオは大事です。NHKはニュース速報(そくほう)を流すので、重宝(ちょうほう)しています。

  ジュニア記者が記事を書くときは、まず、メモ帳に取材した内容をまとめあげてから、原稿(げんこう)用紙に書いていきますが、大人の記者は、メモ帳を見ながらパソコンに直接(ちょくせつ)打ちこんでいきます。時間との勝負のときは、それがいちばん早いのです。昔は、地方や現場から直接、本社の速記をする人に電話で記事を送ったこともあります。今は、携帯電話があれば、パソコンで本社に記事や写真も送ることができます。とても便利になりました。
ペン・鉛筆・ノート カメラ・テープ・ノート
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仕事のおもしろ話
 仕事をしているときに起きた、おもしろい話を教えてください。
高尾 美沙子(たかお みさこ)
佐藤範明(さとう のりあき)さん