トップ人間を通してインタビュー:韓国の名前について
 韓国の人は、名前をとても大切にしています。名前には自分の家系(かけい)の歴史が表されているからです。今回は東京韓国総合教育院の李 和淳(イ・ファスン)さんに、名前についてインタビューしました。韓国の人にとって、名前がどれだけ重要なのかがわかります。
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 東京韓国総合教育院は、日本で暮らす韓国人への教育支援(しえん)や、韓国語や韓国の文化を学びたい人が通う学校です。学校は東京のほか、日本各地にあります。

 李さんは、学校の事務所で人の管理をしたり、ときには韓国語の先生もしています。

 韓国の方の名前の付け方などについて教えてください。

 そうですね。韓国の名字の歴史は古く、大和朝廷(やまとちょうてい)くらいまでさかのぼります。韓国では、結婚(けっこん)をしても名字は変わりません。私の妻の名字、「金(キム)」はそのままです。


 結婚しても名字が変わらないのは、日本とちがうところですね。
 韓国で一番多い名字は「金」です。次に「李」「朴(カ)」「鄭(チョン)」「崔(チェ)」となって、この5つが全国民の50%以上をしめているんです。

ほかの名字は少ないのですか?
 ほかの名字は200か300種類くらいありますよ。でもこの5つがとても多いのです。
 韓国では同じ「李」でも、生まれた場所によって祖先がちがいます。一番古い祖先が生まれた場所を本貫(ほんかん)と呼びます。私の祖先は廣州(こうしゅう)の出身ですけれど、昔は、同じ廣州の「李」系統とは結婚できなかったんです。

 そうなんですか?遠いしんせきでも結婚はできなかったのですか?
 そうです。同じ本貫だったら結婚できませんでした。ただ、李家の本貫は40種類くらいあって、地域がちがえば結婚できる李家もあったんです。

 そこも日本とはちがうところですね。では、和淳というお名前の方にも何か決まりはあるんですか?
 韓国では「五行思想」というものがあります。文字には「土・金・水・木・火」の意味があると考えていますので、この順番で名前を付けていくのです。私の和淳の「淳」の字は「水」の意味があります。兄弟すべてにこの「淳」という漢字が付いているのです。私の父は「金」の意味がある「錦」という漢字が付き、父の兄弟にも同じ漢字が付いています。
※「五行思想」での名前の付け方

 こんな決まりがあったのはおどろきました。この決まりの通りに漢字を選んで、名前に付けていくんですね。
 そうです。私は廣州出身の李ですが、この名前の順番をたどっていくと、李家以外の人でも、私の孫がわかるのです。

 なるほど、わかりやすいですね。
 さらに、「族譜(チョッポウ)」というものがあります。日本でいう家系図ですね。この「族譜」に名前や生まれた年、結婚した相手の名前、子どもの名前、亡くなった日、お墓の場所・・・など、全て書きこんであるんです。それは1200年も昔から本にまとめているんです。

 歴史がありますね。
 1冊700ページくらいあって、それが20冊くらいあります。

 そんなに!
 廣州の李家の人がすべてまとまっている本です。だいたい50〜60年に1回、しんせきが全員集まって「族譜」を書くんです。60年間、李家でだれが結婚したか、だれが亡くなったのか、子どもは何人生まれたのかなどを書き記して、また発刊するんです。

 それをしんせき全員に配るのですね?
 配るのではなくて、買うんですよ。

その書きかえに関わったことはありますか?
ありますよ、私は本家ですからね。

 お話を聞いておどろきましたね。いかに血筋(ちすじ)や名前を大切にしているのがわかりました。貴重なお話をありがとうございました。